上野国三十四観音

上野国三十三観音 水彩画 光厳寺 休日画人の古刹めぐり

上野国。いまや世界産業遺産の地として注目されている場所。

明治期に建てられた官営の富岡製糸場。いまの地名では群馬県富岡市。この地が選ばれた理由は良質のマユ、工場用地、用水、水運、近くに石炭などなど。近代化に必要な要素がそろった手つかずの宝の山のような場所だったようです。

今回の上野国三十四観音は富岡市~安中市~高崎市に分布しており、今をさかのぼる事約800年まえの鎌倉期にはすでに観音霊場の原型が存在したとの伝承もあるようです。大きな神社もいくつか含まれ、神仏習合の信仰の歴史を現在に伝えるひとつの証左となっています。近年はさすがに巡礼された方が少ないのか、廃寺の箇所も多く、特に山間の札所では難所が多いので事前準備がMUSTです。

今回の口絵の光厳寺は、上野国三十四観音霊場の第三番札所。山の穏やかな斜面を利用し伽藍が形作られています。大きな山門。さらに階段をのぼり本堂へ。そんな情景を木立よりスケッチしています。

by 休日画人