あっ、あった。あった!
そんな連続の吾妻三十三観音めぐり。
群馬県には大きな観音霊場の他にも今回の吾妻33観音のような小さなローカル霊場が多々現存している。場所は二次元の地図上では県央付近には見えるものの群馬県は上越や信州などの県境には大きな山並みを抱えており、吾妻33観音の点在する東吾妻町~中之条町にかけてはかなりの山間の土地。近隣には吾妻川、四万川が渓谷を刻んでおり、かなり高低差のある地域にその観音さまは鎮座している。
今回の口絵の『田長堂』は、吾妻三十三観音の第一番札所。県道232沿い、交通量のある植栗交差点近くにひっそりと佇んでいる。伽藍と言えるものはなく、シンプルな堂宇のみの構成である。入り口には大きな松が枝を伸ばし石仏への日差しを和らげている。季節は晩秋。太陽の黄道は低く、見る向きによってはかなり眩しい。そんな光の感じ、このモノトーンの絵から感じてえていただければ何よりです。
この吾妻三十三観音は寺院よりは御堂が大部分を占めており、また時流の荒波を経、六ケ所がすでに廃寺になっているようです。詳細な縁起は不明なものの1690年に再興。吾妻の地名の由来も『日本書紀』に遡るらしく、きっと観音霊場の成立時期もかなり遡るものとを推察されます。 by 休日画人