安房国の成立は安房国三十四観音の項を参照していただくとして、安房国は国が形成される段階にすでに四郡から構成され、南西エリアをすでに安房郡と称していたらしい。今回の旅の舞台は館山市を中心に広がっている安房郡三十三観音霊場である。寺院にはこの地方ならではの特徴が有り、まず参道や境内にはソテツの木々が多く茂っている。温暖な土地柄の証左であろう。それから空が明るく眩しい。海が近く、紫外線が強いためか、サングラスが欲しいほどである。一方の寺院の方は堂宇の割合が高く、外海に近く過酷な自然環境のためか、朽ち始めたような所が散見される。
今回の口絵は南条観音寺は、安房郡三十三観音霊場の第十三番札所。石積みの上に境内があり、後ろにこんもりとした小高い森を背負っている。
by 休日画人