<<参考情報>>reference
・1751年(寛延四年)の納札が現存との事。
・宮城県石巻市の市内の比較的コンパクト範囲にある。
・数カ所が廃寺。2011年の震災により沿岸部には大きな被害が発生している。
・巡拝は街を見下ろす高台の零羊崎神社からスタートする。初段は沿岸部に出て東エリアをめぐることになる。中段では西へ移動し西エリアの沿岸部の札所をまわる。沿岸部の札所には震災の爪痕が色濃く残っている。終盤になると北エリアの山沿いを西から東へと進み、結願はかなり外れた郊外で迎えることになる。
<<ぷち情報>>petite info
東日本大震災の爪痕。
この地を訪れたのは春。春の陽気とともに各所で散り始めた美しい桜の花を観ることはできたものの、痛々しく残る震災の爪痕を垣間見るにつれ心が晴れることはなかった。今回の石巻牡鹿三十三観音は現在では全札所が広域化した石巻市の市内にある。旧北上川の河口近くから発展してきたこの街は、震災時は逆流した水で旧市街全域が浸水。また港から太平洋までの沿岸部の各浜が壊滅的な被害を受けている。沿岸にあった第十六番札所『濡仏堂』は仏像の台座だけが津波により取り残されたように痛々しい姿を呈しており復興の時を待ち望んでいる。現在は浜辺には巨大な防潮堤が建設され、景観が大きく変化してきている。
今回の口絵の法山寺は、刈田三十三観音霊場の第四番札所。左右対称な景観が美しい。ここは高台にあり幸運にも災難を逃れることができたようである。一日も早い石巻牡鹿三十三観音霊場の復興を願いたい。