松本三十三観音

松本三十三観音 水彩画 恵光院 休日画人の古刹めぐり

『信府統記』とは?

1724年、松本藩藩主の命によって完成した全32巻の信濃府の百科事典。同藩内および信濃国七藩の地理・歴史をも詳細に記述されており、第22巻「松本領諸寺院記」には松本領内外の有力な寺院が述べられているとか。

松本三十三観音霊場の開創は1747年と云われていることから、『信府統記』との時代背景は近く、当時の寺院の権勢を反映した選定だったのかもしれない。

同じようなエリアには信濃府三十三観音霊場もある。松本三十三観音霊場の方が松本中心街に集まっており、当時の松本藩の領地に成立したものと思われる。他方信濃府三十三観音は松本近郊にも広がっており、信濃国七藩と言われる隣藩を含めた巡拝となっていたものだろう。蛇足になるが、さらに領域を広げたところに信州筑摩三十三観音霊場が設けられており、さらにその外の領域には信濃三十三観音へとつながっている。

今回の口絵の恵光院は、松本三十三観音の第二番札所。

松本市内は実に一方通行の通りが多い。目的地をうっかり行き過ぎると厄介なことが起こる。この恵光院もそういった一方通行の通りに佇んでいる。本堂は近代建築になったものの、通りに面したところには立派な山門がお出迎えしてくれている。 

by 休日画人