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近江西国三十三観音

 

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・縁起不明

・琵琶湖を囲むように分布。

・所々に霊場の表札あり

・湖南市の常楽寺からスタート。ここだけは拝観の予約が必須なので要注意。

初段は琵琶湖の南端周辺の札所を訪ね歩く。徐々に琵琶湖西岸を北上。ぐるっと琵琶湖をまわりながら中段で湖東へ移動していく。後半は札所が密集する琵琶湖南東部エリアで札所を打っていく。最後は湖南市の妙感寺で結願。

 

 

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 結界?

 

近江西国三十三観音霊場に関する史実として、

江戸中期に琵琶湖の南端付近にあった膳所藩の藩士が編纂したと云われる「近江與地志略」がひとつのランドマークになっていた。 享保19年(1734年)のことである。 

ここを基軸に考えれば、上方文化が隆盛した元禄期(1688年~1703年)あたりが開創?、、、との推定も当たらずも遠からずだったのだが。。。

近年になり、寛文8年(1668年)に彫られたとされる近江西国の札所と御詠歌の版木が発見されており、開創時期はさらにこれを遡ることになっている。

 

寛文期とは1661年から1672年までの12年間であり、元禄期(1688年~1703年)のすこし前となる。

寛文8年は関ヶ原の合戦の後、68年。

比較するには多少憚りがあるが、現在は太平洋戦争後78年。 

ほぼ同程度の戦後期間を経過し、

寛文期を生きた庶民の心持ちを自分たちに置き換えて多少イメージすることができるのではないだろうか。

世代がどんどん入れ替わり、寿命の短かった江戸期であればなおさらである。

関ケ原の戦いを経験した人はもう一握りもいなかったに違いない。

戦いに明け暮れた時からの解放を喜びつつ、加速的に庶民文化が華やいでいったことであろう。

この平和な時こそが庶民文化の成熟には不可欠であり、

この寛文期に続く元禄期において、上方文化に花が開いたことは教科書でも習う史実である。

 

さて開創時期について推察してみよう。

二通りぐらいが考えられるのではなかろうか。

江戸初期???

戦国期には幾多もの戦渦により多くの人命を奪われている。

その鎮魂としての霊場開創、といった切り口がひとつ考えられるのではないだろうか。

この江戸期の近江国の統治状況を調べてみると、彦根藩が筆頭となり、その他は小藩による分割統治となっている。

分散する札所を他藩の領地をも巡りながら選定しまとめ上げるにはこの統治下ではあまりにハードルが高い。

ましてや鎮魂であれば、あえて近江国としてまとめるあげる事由は何であろうか?

長く続いた戦国の世。 庶民の中では近江国といったエリア認識はもう消失してしまっていたのではないだろうか。

  ーーー少々無理筋に思える。

 

室町期???

守護大名が近江国を統治していた時期に霊場が開創されたのではないか、といった切り口がもうひとつである。

室町期を調べると、

まずは室町初頭に、京極氏が足利尊氏から出雲守護・飛騨守護などに加えて近江守護も任じられている。

その後六角氏頼が家督とともに近江守護職を継承。 建武2年(1335年)のことである。

織田信長の侵攻により1568年頃に六角氏滅亡。
ざっと約230年ぐらいを守護大名が近江国を統治している。

 

しかもこの間には、京で政争に敗れた将軍がたびたび近江国に逃避、幾度も再起を計っている。

近江国が政権において重要な地であったことは間違いない。

多くの京の文化が流入し、文化が成熟する時期も十分にあった。

そういったなか、もうひとつ気になるポイントは、

六角氏が繖山(きぬがさやま)に居城を築いているが、同時にここには第十九番札所である観音正寺が祀られていることである。

 

大胆に推測するならば、

守護大名であった六角氏が氏族の繁栄と外敵から近江国を守護すべく

神仏によるバリア、すなわち結界形成を構築したのではないだろうか。

 

居城の中に祀られた観音正寺は十九番。 三十三ヶ所ある観音霊場のほぼ中盤に配されている。

戦いにおける「鶴翼の陣形」を彷彿とさせる配置である。

また上空より札所全体の配置を見れば、琵琶湖を中心にし逆Cの字を描くように分散している。

逆Cの口が開いている方向には比叡山。 日本最高峰のパワースポットのひとつである。

この比叡の崇高なパワーを引き込み、近江国を守護しているように見えなくもない。

 

まだまだ神仏祈祷の重要であった時代である。

迫りくる外敵に対し神仏による結界を構築した、、、と推測するのは私だけであろうか。

  ーーーすこし妄想しすぎたか???

 

 

 

近江西国三十三観音 水彩画 リストA 休日画人の古刹めぐり
近江西国三十三観音 水彩画 リストB 休日画人の古刹めぐり

 

 

 

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