<<参考情報>>reference
・1984年(昭和59年)に再編。
・静岡県掛川市を中心に、西は天竜川、東は大井川を境としたエリアに分布
・HPあり
・案内板の掲示はマチマチ。
・掛川市の結縁寺から巡礼が始まる。『の』の字を描くように初段は天竜川をめざし、さらに上流へと進む。中盤で西から東へ。大井川をめざしながら札所をめぐっていく。終盤は南下。最後は再び掛川市へと戻って結願を迎える。
<<ぷち情報>>petite info
読めますか?「遠江」
「とおとうみ」。かつて平安期に律令制が制定されたときに発足した遠江国。これと対を成す言葉は「近江」。その当時の権力の中枢は朝廷(都)にあり、都に近い淡水湖(琵琶湖)のあるところを近江(おうみ)、遠い淡水湖(浜名湖)のあるところを遠江(とおとうみ)と名付けたらしい。まだ正確な日本地図もない時代。なんとも趣のある、歴史を感じさせる語彙である。
今回旅する遠江三十三観音霊場は、静岡県掛川市を中心に、西は天竜川、東は大井川を境とした割とコンパクトなエリアに分布している。名称から憶される旧遠江国というよりは江戸期に形作られた掛川藩の範囲に近いものだったのではなかろうか? 時代時代の庶政や時代背景に想いを馳せることも古刹めぐりの楽しみのひとつである。この遠江の霊場は「の」の字を描くように再び起点に戻ってくるルートとなっており、コンパクトでたいへん巡拝しやすい構成となっています。
今回の口絵の岩松寺は、遠江三十三観音の第六番札所。岩松寺の本堂とは別に観音堂があり、本堂前の幹線道路の反対側のうっそうとした森の中にある。木々に囲まれた薄暗い石段を登っていくと、建て直された真新しい堂宇に巡り合うこととなる。そんな情景をスケッチ。